スタイリッシュな門鉄デフのC57形SL撮影と電気式気動車初乗りの旅 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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スタイリッシュな門鉄デフのC57形SL撮影と電気式気動車初乗りの旅

門鉄デフを装着したSLを撮りに行く

門鉄デフ装着のC57登場

 初乗車だったGV-E400系で編成された列車を見送ると、さきほど列車が渡ってきた一ノ戸橋梁を目指す。線路に並行した道路を歩き、踏切を渡ってしばらく進むと、右手に一ノ戸橋梁が見えてきた。もっとも、橋の下を潜ったところにある撮影スポットまではかなり歩かなければならず、駅から20分ほどかかったであろう。すでに「同業者」が何人もいる。場所を探し、先客の邪魔にならないよう声を掛け合いながら立ち位置を決めてSL列車の到着を待つ。1時間以上もあるので長いけれど、初対面ながら近くの人と世間話をしたりして時間をつぶす。

一ノ戸橋梁を渡るSLばんえつ物語

門鉄デフ装着のC57形180号機

 山都駅発車の10分ほど前に汽笛が聞こえてきた。山都駅には10分も停車するのだ。いよいよ対面の時が迫ってきた。12時50分、定時に汽笛一声、機関車の姿はまだ見えないけれど煙が上がり、次第に鉄橋に向かってくる。やがて、木立の間から黒い機関車が汽笛とともに姿を現した。7両の客車を従え、鉄橋を轟々と渡る。門鉄デフを装着した姿は、きりりと引き締まって美しい。鉄橋の下からは雪を頂いた飯豊連峰が輝いて見える。乗客も立ち上がって、谷間の車窓に見とれている。手を振ってくれる人もいた。夢中になってシャッターを連写しているとあっという間だ。列車は煙を残して右手の山の中に消えていった。

山都から喜多方まで乗車したキハ110系ディーゼルカー

 山都駅までの帰路は少々上り坂になっているけれど、一仕事終えた安堵感と満足感で足取りは軽い。普通列車の到着までは40分以上あるので急がなくても充分間に合う。

 山都発の会津若松行きは、白地にドア付近や縁がグリーンで彩られたお馴染みのディーゼルカーだった。JR東日本の様々なローカル線で見られる車両ではあるが、世代交代で次第次第に消えていくのであろう。10分ほど乗って喜多方駅で下車。遅い昼休みを過ごした後、会津若松駅発のSLばんえつ物語を撮影するため、山都方面へ向かって歩き出す。今度は、盆地にある踏切付近で驀進してくるSL列車を撮る予定だ。

喜多方近郊を走る新津行きSLばんえつ物語

 濁川を渡ったところにある第1舞台田踏切までは駅から歩いて優に20分。途中にスーパーマーケットを中心としたショッピングモールがあったので、トイレを借りたり、ベンチで休んだりして目的地に向かった。

 現地に着いてからも1時間以上時間があったけれど、GV-E400系電気式気動車とキハ110系ディーゼルカーが、それぞれ1本ずつ通過したので、それなりに変化があって退屈はしなかった。秋の日の夕暮れは早く、SL列車が通過する午後4時前は穏やかな斜光が車体に降りかかる。定時にかなりのスピードでやってきた列車は、通過後振り返って見送ると車体をギラリと輝かせて印象的な姿で走り去っていった。

夕陽を浴びながら走り去ったC57牽引SLばんえつ物語

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野田 隆

のだ たかし

1952年名古屋生まれ。日本旅行作家協会理事。早稲田大学大学院修了。 蒸気機関車D51を見て育った生まれつきの鉄道ファン。国内はもとよりヨーロッパの鉄道の旅に関する著書多数。近著に『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』『シニア鉄道旅のすすめ』など。 ホームページ http://homepage3.nifty.com/nodatch/

 

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